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2019年5月


アセットビジネスレター編集部が独自に選んだ主要ニュース(出典:日本経済新聞)は、

◎平成から令和へ、改元  ◎紙幣、2024年に刷新  ◎野村とトヨタ、決算  ◎米中貿易問題 です。


<編集部の考察>

◎平成から令和へ、改元
2019年4月30日、平成最後の日、皇居は小雨模様。午前10時過ぎから平成天皇の退位の儀式が始まりました。午後5時からは「退位礼正殿の儀」が執り行われ、在位中、最後のお言葉を述べられました。「象徴としての私を受け入れ支えてくれた国民に、心から感謝します。」というお言葉は、平成天皇の優しいお人柄を表していると感じられました。
翌、2019年5月1日、令和の時代が幕を開けました。新天皇陛下がご即位されて、平成天皇は上皇さまになられました。そして、雅子さまが皇后に、前の皇后は上皇后になられました。
新天皇陛下は59歳、名前は徳仁、称号は浩宮。皇位継承順位1位となる皇嗣には秋篠宮さまが就かれました。2位は秋篠宮さまの長男、悠仁さまに変わりました。
皇室に関する諸制度を定めた皇室典範は、天皇が死去した場合のみ皇位継承を認めています。今回の代替わりは、2017年6月に成立した皇室典範の特例法に基づいています。
皇位継承の儀式で天皇陛下は、即位後初めてのお言葉を述べられました。お言葉は上皇さまに関する部分が多く、国民と苦楽を共にし一つ一つの務めに真摯に取り組んでこられた上皇さまの姿勢に心から敬意と感謝を示されました。
天皇陛下は「常に国民を思い、寄り添いながら」というお言葉で上皇さまが確立された国民と深く交わる象徴像を受け継ぐお気持ちを鮮明にされました。
一方で、天皇陛下はかねて社会の変化に対応した皇室のあり方を求める考えを示されています。お言葉の中で使われた「自己の研鑚に励む」という箇所は、令和の時代に即した象徴像を探る努力を続ける姿勢が読み取れます。
天皇陛下、皇后さま、お二人ともオックスフォード大学に留学されており、語学がご堪能。新たな皇室、象徴像を、お二人で築かれていくことに、国民の一人として期待するものであります。



◎紙幣、2024年に刷新
改元の祝賀ムードを後押しするかのように、紙幣刷新が発表されました。2004年以来、20年ぶりとなります。新紙幣の表の図柄は、1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎になります。
渋沢栄一は、「日本資本主義の父」と呼ばれる実業家。1873年に大蔵省を辞めて、日本初の銀行となる第一国立銀行(現みずほ銀行)を設立しました。また、東京株式取引所(現東京証券取引所)など数多くの企業の設立・育成に関わっています。
津田梅子は、女子高等教育の先駆者として知られています。1871年、最初の女子留学生として幼少期に渡米しています。1889年に再渡米、帰国後、1900年に女子英学塾(現津田塾大学)を東京・麹町に開校し、英語教師の養成と個性を尊重した全人教育を目指しました。
北里柴三郎は、日本の「近代医学の父」と呼ばれています。1874年に医学の道を志して上京し、ワクチンの製造拠点となる伝染病研究所や北里研究所を設立しました。予防医学で成果を上げ、ペスト菌発見の功績などでも知られています。
現在、政府が推し進めているキャッシュレス決済が目標通り進めば、ひょっとすると今回が最後の紙幣刷新になるかもしれません。とはいうものの、新紙幣の切り替えで、ATMや両替機、自動販売機の更新による経済テコ入れ効果に期待したいと思います。



◎野村とトヨタ、決算
2019年3月期の決算発表が続いています。そんな中、日本を代表する2社の決算に注目しました。
まず、野村ホールディングス。2019年3月期の連結最終損益が1004億円の赤字に転落したと発表しました。通期で赤字転落は、2009年3月期以来、10年ぶりです。2008年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザーズの「のれん代」を減損処理したのが主因です。
但し、野村だけでなく、大手証券会社には、共通する3つの構造問題があります。
まず、構造問題の1つ目は市場部門であります。長期に渡る金融緩和政策で低金利が続き、債券売買のトレーディング収益が激減しました。野村では債券トレーディングの事業規模を欧州で5割、海外全体で4割を縮小する構造改革に追い込まれました。
2つ目は、リテールの不採算構造であります。野村の営業部門の税前利益は、前期比52%減の495億円。金融危機当時の水準まで逆戻りしています。預かり資産は2倍弱に増加し、株式相場も上昇しているのに利益が出ない。金融庁が求める顧客本位営業に基づき株式の頻繁な売買勧誘を控えています。また、投資家にも、低コスト・長期投資の傾向が強まり、株式の売買仲介や投信販売に伴う手数料が減少しました。
3つ目は、デジタル化への対応が遅れたことに対する危機感が薄いことであります。20年前、ネット証券が営業を開始して以降、若年層の顧客を奪われても店舗と人を軸に据えた事業モデルの改革を進めることが出来ませんでした。野村は4月に全部門横断でデジタル活用を検討する「未来共創カンパニー」を立ち上げました。また、LINEと組んで準備を勧める合弁証券会社の開業も急いでいます。
野村は今後数年かけて、30以上の店舗を統廃合し黒字回復を急ぐこととなりました。構造改革の重要性を改めて再確認する決算発表であります。

一方、トヨタ自動車の2019年3月期の連結決算、売上高は日本企業で初めて30兆円台の大台に乗りました。また、営業利益は、前期比3%増の2兆4675億円で、過去最高の2016年3月期、2兆8539億円には及びませんでした。但し、為替要因を除いた利益の質は改善しています。2016年3月期までの3年間では、利益は1兆5000億円増加しましたが、殆どは円安効果でした。2019年3月期までの3年間は、為替変動を換算しない真水ベースで約4000億円増加しています。
トヨタの堅調な業績の背景には、米中の2大市場で善戦したことがあります。2019年3月期、北米で4期ぶりに営業増益に転じました。また、中国事業はレクサスが好調で利益は前期比17%増となりました。
米中貿易問題は、一層、激しさを増しそうですが、この両国市場でどう収益を伸ばすかが、今後の大きなカギとなりそうです。



◎米中貿易問題
トランプ政権は、2019年5月10日、2000億ドル分の中国製品への関税を、10%から25%に引き上げました。米中貿易協議は、早期に妥結するとの楽観論が広がっていました。
ところが、トランプ大統領は「中国が合意を壊そうとしている」と再び強硬策に転じてしまいました。これを受けて、中国は報復措置を取ると表明、米国は制裁対象の拡大を表明しており、泥沼の関税合戦が再燃する可能性もあります。
制裁範囲の拡大は、中国からの輸入品全てに関税を課すもので、5月13日に詳細が判明する予定です。現在は、対象外の3250億ドル分に「第4弾」の関税発動です。
この中には、スマホなどの携帯電話、パソコン、おもちゃなど幅広い製品が含まれます。
米中両政府は、5月10日、貿易問題を巡る2日間の協議を終えました。トランプ大統領は、ツイッターで「率直で、建設的な議論をした」と説明し、米国が制裁関税を取り下げるかは、今後の交渉次第と指摘しました。一方、中国の劉鶴副首相は、協議後のインタビューで「米国の追加の関税引き上げに強烈に反対する。中国は必ず報復する。」と述べました。
今後の協議については、「北京での再開を約束した。交渉は継続する。」と述べています。
もし、第4弾の関税が発動された場合、米中2国間の問題だけではなく、日本や韓国、台湾などアジアに拡がるサプライチェーンにも影響がでると思われます。関税引き上げで売上が鈍れば、受ける打撃は中国よりも米国であるという試算もあります。
いずれにせよ、早期に協議を再開し、関税戦争に終止符を打って欲しいと思います。