ASSETLEAD COLUMN

会長の社会・経済コラム(2019/3/8)

ゴーン前日産会長の保釈劇



ゴーン前会長が3月6日に108日の拘留を経て、東京拘置所から保釈された。作業員姿で帽子とマスクをかぶり、軽ワゴン車で出所した姿がユーモアなので、いろいろ真意がネット上でも取りざたされている。本当にこれが変装でマスコミの目をごまかそうと画策したとしたら、お粗末というより、滑稽でもある。だれにでもすぐバレるこの演出は何を意図していたのか。単純に失敗演出として揶揄するマスコミも単純である。

あくまで個人的感想であるが、そもそもこの事件はなにか地検特捜部のかなりの威信回復のための自己主張色が濃い側面が感じられてしょうがない。

特捜検察は2010年の厚生労働省村木厚子元局長の無罪判決となる免罪と、政治家小沢一郎氏の陸山会事件の無罪と東京地検の文書改ざん問題、さらに、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件により、国民の信頼は地に堕ちていた。
自分たちの主張を通すためなら権力乱用も平気な怖いところという不信感が定着して、特捜部無用論がくすぶっていた。

その後の8年間にわたり、失地回復、威信回復を狙っていたところに、日産幹部の内部通報と司法取引の強烈な協力により、世界の名声ある経営者カルロス・ゴーン会長逮捕という起死回生の舞台が舞い込んできて、異常に高揚した感じがありありと感じられる事件である。

マスコミへの異例なまでの事前リークで「地に堕ちたカリスマ経営者」「独善で横暴」「許せない」「私腹を肥やす」など、ゴーン会長の人格攻撃一色をおぜん立てした。起訴の後も証拠隠滅を理由として、否認する容疑者を人質拘留する日本の司法制度は、世界から人権問題として大きな非難を浴びている。

この度、ゴーン弁護団として、前出の数々の特捜冤罪事件の無罪を勝ち取った弘中淳一郎弁護士の登場で、「知恵を絞った」保釈条件で異例の早期釈放を実現させた。裁判所も国際的批判の前で保釈をするいいアイデアに飛びついたと思う。

特捜の威信と無罪請負人の弁護団との戦いに目が離せない。
 

飯塚良治(株式会社アセットリード 取締役会長)

オリックス信託銀行(現オリックス銀行)元常務。投資用不動産ローンのパイオニア。
現在、数社のコンサルタント顧問と社員のビジネス教育・教養セミナー講師として活躍中。