ASSETLEAD COLUMN

会長の社会・経済コラム(2018/11/6)

大阪桐蔭 根尾昴選手18歳「ネオヒーローの華やかな人間力」



二刀流で甲子園を沸かせた根尾は、今年のドラフト会議の主役だった。投げては最速150キロのピンチになるほど真価を発揮する負けない精神力を持ち、また、守っては、ショートの守備では抜群の身体能力を活かした鮮やかなプレーで、ピンチを食い止める。打撃でも高校通算32本塁打と対応力高いヒットを連ねる。そして積極的に先の塁を狙うスピードと、まさしく二重、三重と光る素質が目を見張った。

そしてドラフトが近づくと彼の野球と勉学の文武両道が紹介され、また普段の生活の人間性も大きくクローズアップされ、圧倒的に当初人気が先行していた金足農業高の吉田輝星投手を抜き去って、中日、ヤクルト、巨人、日本ハムの4球団に1位指名された。

根尾の数々のエピソードが紹介されて、後輩、同窓に慕われるその人間性に、獲得を目指した各球団はこの18歳に、選手としてだけではなく、将来のリーダーとしての期待もかけたのかもしれない。

中学の時には野球とスキーがすでに超一流で、それでいて生徒会長も務め、成績もトップクラスであったという。

高校に入って、勉強にも野球にも常に全力で当たり、成績優秀な生徒が集まるクラスに野球部では唯一入っていて、その中でトップレベルを維持し、寮生活では時間さえあれば絶えずトレーニングに励み、寮では勉強する時間がない分、とにかく授業中に集中力を高め、真剣にノートに書き込み、寝ているのを見たことがないとクラスメイトは語っていたそうである。

また、大変な読書家で、毎月医者のお父さんから20冊近く書籍が送られていて、大阪桐蔭の監督がこう語っていた。
「根尾はいつでも、何事にも全力。遠征に行った帰りのバスでも皆、寝ているのに、根尾だけ本を読んでいる。たまに根尾がバスの中で寝ていると、ちょっとホッとしたものです。」

その根尾の愛読書が、日本資本主義の父と呼ばれる、実業家の渋沢栄一の「論語と算盤」というのだから、これは末恐ろしいですよ。

「論語」からの人間形成と、利益追求の努力はお互いに共存してこそ、真の経営者であると説くこの本は、永遠のビジネス界のベストセラーであるが、18歳の少年が、これに学ぶというところに彼の文武両道の原点があるらしい。

「論語」の主旨は、「自分で考えて自分で行動しなさい、自分で自己責任を持ちなさい。ルールではなくて自分が何をすべきかということを原則としなさい」ということであると思うが、最近聞かれる「自己責任論」は自分は棚に上げて、他人の事ばかり自己責任という都合の良い言葉でバッシングしているがそれは論語の主旨とはほど遠い。

スポーツもビジネスもそうであるが、「熱血」というのはそろそろ賞味期限が切れている。やはり「賢く考えて、粘り強く行動する」というのが大成する。そういう新しいリーダーを時代は求めている。
 

飯塚良治(株式会社アセットリード 取締役会長)

オリックス信託銀行(現オリックス銀行)元常務。投資用不動産ローンのパイオニア。
現在、数社のコンサルタント顧問と社員のビジネス教育・教養セミナー講師として活躍中。