ASSETLEAD COLUMN

アセットリード会長の社会・経済コラム(2018/8/8)

米中貿易戦争は昔から繰り返された歴史「ツキディデスの罠」といわれる。



今から2500年前、古代ギリシャの歴史家ツキディデスは「ぺロポリス戦争の歴史」を書いた。
当時の覇権国であったスパルタ国に対し、勃興したアテネ国が挑んだ戦争である。

かって米ハーバード大学教授のグレアム・アリソンは「覇権国が追い上げてくる新興国が自分の立場を危うくさせる時、戦争という手段で一位と二位の国家はそれぞれの立場の解決を図ろうとする。」覇権国に対する勃興国との立場が入れ代る時の確執を「ツキディデスの罠」という仮説を立てた。

彼の著作によると過去500年の歴史上、こういうケースは16回あり、そのうち12回で大きな戦争が起こったと証明している。最近ではドイツやイギリスから覇権国がアメリカに移る過程で第1次、第2次の世界大戦を経験しているし、 アメリカと旧ソ連との確執は冷戦という形での衝突となった。

現在進行中のアメリカと中国の貿易摩擦の拡大と貿易戦争にまで発展していることを、この「ツキディデスの罠」で説明するエコノミストは多い。

圧倒的な経済力と軍事力をもつアメリカの戦後の覇権を追い上げてくる中国が自国の権利を強く意識して、より大きな利益と名誉を求めて強力に世界に向けて動きだしている。

大昔の「世界の中華帝国の夢よもう一度」という最近の中国の挑戦に対して、超大国であるアメリカが状況に危惧して、不安と疑心暗鬼で守りを固める構図が現在勃発している米中貿易戦争とみると確かに得心する。

そうであるが繰り返す歴史もいろいろ複雑な要素を併せ持つと言える。特に北朝鮮という米中ともにのどに刺さった骨を持つ。このカードは果たしてどちらに有利に運ぶのか、今までとは異なる様相を示している。今後の展開に、目が離せないのである。

飯塚良治(株式会社アセットリード 取締役会長)

オリックス信託銀行(現オリックス銀行)元常務。投資用不動産ローンのパイオニア。
現在、数社のコンサルタント顧問と社員のビジネス教育・教養セミナー講師として活躍中。