ASSETLEAD COLUMN

アセットリード会長の社会・経済コラム(2018/6/1)

テクノロジーの発展は人の仕事を奪うのか?



最近の未来論は大反響である。
「ダボス会議が予測する未来・第4次産業革命」「マッキンゼーが予測する未来」「2050年の世界・英エコノミスト誌が予測する未来」を立て続けに筆者も読んだ。共通する未来予測がAI化、ロボット化のテクノロジーの急成長が人々の雇用を奪うという、論調である。コンピューターの処理能力が更に飛躍的に高まれば、雇用の空洞化は加速すると警告している。オックスフォード大学の研究によれば今後10~20年の間にアメリカの雇用の47%、約6000万人が職を失うと予測する。

確かにアマゾンの大半の倉庫では、ロボットが24時間休みなく商品を梱包担当者のもとに運び続ける。同時にその商品のデーターを中央システムに自動的に瞬時に送り続ける。そのプロセスでは人間が介入したり、意思決定するよりも、はるかに正確で、スピードがあり、データーも蓄積される。これは機械学習とセンサーのイノベーションが急速に進んだことで可能になった。中程度の雇用の空洞化が進んでいるのは、多くの中スキル職が、主に頭を使う仕事にせよ、体を使う仕事にせよ、アマゾンの倉庫の商品管理人のように定型的な業務だったからである。この種の業務はテクノロジーによって人間から代替されていく。コストも労働者の賃金よりもはるかに安価だからである。

多くの先進国では、少子高齢化とベビーブーム世代の引退により今後労働力人口はますます加速して減少し大幅な人出不足現象を生み出す。特に日本では1億3千万人の人口が2060年には8700万人に減ると予測されている。ロボットが雇用を奪うという脅威よりロボットが労働人口の減少を補い、経済生産性と生活水準を維持してくれるほうを歓迎すべきである。

また、歴史的にもテクノロジーの進歩は生産性を向上させ、生活水準を引き上げ、消費活動を拡大し、雇用を増加してきた。今後もまだ予見されていない新しい製品やサービスが登場し、新しい産業が台頭して、新しい雇用を生むというのが経済学的回答であろう。脅威(リスク)より機会(チャンス)であり、それを予測し準備する知的想像力が皆に問われる。

飯塚良治(株式会社アセットリード 取締役会長)

オリックス信託銀行(現オリックス銀行)元常務。投資用不動産ローンのパイオニア。
現在、数社のコンサルタント顧問と社員のビジネス教育・教養セミナー講師として活躍中。